ミュンヘンの淡色ラガーあれこれ

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BBBで「いつ帰ってきたの?」とよく聞かれます。

更新せずにスイマセン。。。先週火曜日に帰国したら玉手箱状態で、時は一週間進んでおり、新店舗の工事も佳境。追加工事などの打合せをして、保健所に行って、電話番号取得して、ウェブサイト作製の打合せして、特注の冷蔵庫の話も、ドラフトタワーにつけるタップの話も、、、ギリギリです(汗)

さて、旅の話が止まっておりましたが、最後に訪れたミュンヘンで飲んだビールのことを少し振り返っておきたいと思います。

今回は、ピルスナーに的を絞って、8年ぶりにドイツとチェコ+初めてのオーストリアを周りましたが、ミュンヘンに行った時にピルスナーを頼もうとすると、ちょっと迷いがあります。。。ヘレス、ピルス、エクスポート、ケラービア。。。

日本ではあまりビールスタイルの概念がなく、「ビール=金色でピリピリした苦い酒」というイメージが定着しています。あえて言うなら価格帯やどっしりとしたボディ感の違いでスタンダードビールとプレミアムビールなんて分け方をしたりしてますよね。

その基準をミュンヘンのビールに当てはめようとすると、ライトでホップ香を抑えたスーパードライのスタイルはヘレス?爽やかなホップ香がある一番搾りはピルス??なんてことを思ったりします。

まあ、違う物差しで物事を考えてもあまり意味はないんですけど、この旅で改めて、本場ドイツのラガーに対する考え方に興味を持ち、それをできる限り理解した上で、日本のビール(ピルスナー?)を考えたいと感じたのです。

 

簡単にまとめると。。。

ヘレス(Helles)・・・「明るい、淡い色の」という意味の「Hell」からきてます。ボディは軽く、ホップの特徴である爽やかな香りと苦みが弱く、モルトの香りや甘みが引き立つ。ミュンヘンではピルスよりもこっちがスタンダードですね。

ピルス(Pils)・・・「ドイツで造ってるのにピルスナー(チェコ・ピルゼンの、という意味)かよ!」と言ったか言わないかはわかりませんが、ドイツでもミュンヘンを中心としたバイエルンではピルスナーではなくピルスと言います。ホップ香がしっかりしている点は元祖チェコ産と同じですが、ホップの品種はチェコのザーツと違いハラタウがメインなので印象も変わります。ジャーマンピルス(ナー)と言ったりもしますね。

エクスポート/ドルトムンター(Export/Dortmunder )・・・アウグスティーナのエーデルストフ (写真)はこのスタイル、強めのアルコール度数としっかりとしたモルトのボディが特徴。

ケラービア(Kellerbier)・・・濾過をせずにKeller(貯蔵庫)からだしてきたままのビール。酵母が残り独特のコクと香りがあります。醸造所所有のレストランなど飲める場所は限られ、新鮮だからこそ楽しめます。

っとこんなことをウダウダ考えたりしてたら一週間過ぎたわけです。

www.beerboulevard.com

雨あがりのピルゼン

昨晩から続く雨のプラハを後にして、最終目的地であるドイツ・ミュンヘンへ向かいます。

その途中、プラハから1時間半ほどのところに「ピルゼン」という町があります。

ビールの世界において、あまりに有名なこのチェコの町で途中下車をして、ピルスナーウルケル醸造所へ立ち寄りました。

ビールの種類は数あれど、世界で飲まれているビールのうち、大半は黄金色でピリピリしているラガー≒ピルスナーです。

ピルスナー(Pilsner, Pils)とヘレス(Helles)の違い?コーンやライスを副原料として使ってる?・・・みたいな細かい話は抜きにして、それぞれの地域の気候風土、収穫される原料、嗜好やトレンドに合わせて様々な黄金色(正しくは淡色という)のラガーが造られてきました。

そんな世界を席巻した黄金色のビール、ピルスナーを生んだのがこのチェコにある町・ピルゼンなのです。19世紀半ばのことですから、2000年ほどの長いビールの歴史を考えると、極々最近の話と言っても過言ではないでしょう。

逆を言えばそれまでは、麦芽の乾燥技術が確立されておらず、麦芽を火で煎って乾燥させていたため、濃い色合いに焙煎されてしまい、すべてのビールがダークビールでした。ようやく黄金のビールが登場したのが1842年だったというわけです。

チェコ、プラハ、そして黄金ビール発祥の地、ここピルゼンへの想いをさらに強くして、丸いジョッキを一気に傾けた私は、雨あがりのピルゼン駅から最終目的地・ミュンヘンへ向け、さらに5時間の電車の旅を続けました。IMG_3568

追記:ちなみにピルゼン, Pilsenってドイツ語表記(読み)で、チェコ語ではプルゼニュ, Plzeň。ピルスナーウルケル, Pilsner Urquellもドイツ語で、チェコ語だとプルゼニュスキープラズドロイ, Plzeňský Prazdroj 。意味は「ピルスナーの元祖、源泉」だそうです。

サトウ注ぎの原点

サトウ注ぎ(つぎ)なんてたいそうな名前ついたもんだなと思ってますが、その原点はここプラハにあります。

言わずと知れたピルスナーウルケルの有名店「U Zlateho Tygra (ウ ズラテーホ ティグラ = 黄金の虎)」に8年ぶりに戻ってきました。気がつけばこれまでに世界数十の国や地域を旅してきましたが、また来たい!必ず戻ってこよう!と思わせられたのは、僕にとってここプラハの街であり、この「黄金の虎」というビール屋です。ANAの機内誌「翼の王国」にも記事が出ていましたし、漫画「もやしもん」にも登場しています。

提供するビールはどこにでもあるピルスナーウルケル一種のみ。

Nostalgieと名付けられたチェコ特有のタップが繰り出すクリーミーな泡を使い、一気に、そしてたっぷりと泡を立て、そこに適度な流量の液体を絡ませるように満たしていく。。。注ぎ手の態度はぶっきらぼうで、ジョッキを力強く洗う姿は少々乱暴ですらあるのに、注ぎ出すビールはなめらかで柔らかく繊細、香ばしい麦芽のフレーバーと甘みを引き出し、ホップの苦みと最高のバランス。客はただひたすらこのビールをおかわりし続けます。そう!まさに何杯でも飲めるビール、飲み飽きないビールなのです。

実は「サトウ注ぎ」として提供しているその方法は、このティグラの注ぎ方を日本のディスペンサーと炭酸含有の多いスーパードライ用にアレンジしたものだったりします。(ようは真似です)

前回プラハを訪れてから8年間、ずーっと心の隅にあったのは、こんなプラハの街角にあるような本当にうまいピルスナーだけを飲ませるビール屋を東京でやってみたいという想いでした。
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旅の目的

ビールの旅といえば。。。ドイツ、イギリス、ベルギー、チェコ、アメリカ。。。

たくさんの場所が思い浮かびますが、なぜオーストリアのザルツブルクに来たか?

実はビアブルヴァード株式会社、12月上旬に新しいチャレンジをすることになりました。銀座6丁目、泰明小学校近くで極々小さな立ち飲みのビール屋を始めることにしたのです。店のコンセプトはまた次回にでもじっくりお話ししていくとして、この新店舗に向けて、改めてビールの注ぎ方やグラスの研究に来ているのです。

注いでいる動作だけならYouTubeでも見ることができる時代になりましたが、実際にビールを注いでいる、飲んでいる、そのシーンを目の当たりにすると、我々とは違うシステム、方法、ビールごとの注ぎ方の違い、どのくらいのサイズでどのくらいの時間をかけて飲んでいるか、、、そして8年前にヨーロッパを周った時には見なかった機器にも驚き、感銘を受けます。そして、どうしてそんな注ぎ方をしているのか考え、そこにどういったポリシーがあるのかを尋ねることは、自分がビールを注ぐことの礎となってきました。

さて、新店舗ではどのようにスーパードライを提供しようか考えています。サーバー(ディスペンサー)のシステムは?グラスは?注ぎ方は。。。?

星の数ほどあるビールのブランドを調べていくうちに、ザルツブルクの少し北にあるブルワリーが造るTrumer Pilsというピルス(ナー)のグラスが目に留まりました。0.3ℓ のラインが入った(すり切りいっぱいで推定350ccほどの)細長いグラスによるシャープな飲み口はグラスを研究しているという彼らの狙ったことなのでしょう。味わいはスッキリとしたライトなボディ、華やかなホップ香が特徴のラガーでした。このビールを味わうことこそがこの地を訪れた目的です。PB120443以前から細長いシャンパングラスにスーパードライを注いで飲んでみると、素晴らしく繊細で、シャープさが際立ち、非常に良さが出ると感じていました。このTrumer Pilsを飲んだ時にも同じような印象を受けたのです。

ビールを愛する古都ザルツブルクで、グラスについての新たなヒントを得た私は、現在電車に揺られ、次の目的地プラハへ向かっています。

 

 

 

「ビアブルヴァードサトウのブログ」(仮)スタートします!

ブログの世界ではご無沙汰しております。ビアブルヴァード・サトウです。

忙しくて動けなくなる前に、突如思い立ってビールの旅に来ています。ドイツ・デュッセルドルフからケルンを経由して、ただいま、映画「サウンド オブ ミュージック」の舞台にもなったオーストリアはザルツブルクなう。

DD時代にはほぼ毎日書いていたブログですが、しばらく(4年くらい)お休みして、久々に情報発信をしていこうと考えています。

さて、オーストリアは一人当たりのビール消費量でドイツを抜き、世界第3位のビール大国。初めて降り立ったザルツブルクは澄んだ青空と街を囲む山々の緑、そして旧市街の美しい街並みが魅力的な都市です。ここではどのようにビールを楽しんでいるのか、じっくりと観察してきたいと思います。

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