昨晩から続く雨のプラハを後にして、最終目的地であるドイツ・ミュンヘンへ向かいます。
その途中、プラハから1時間半ほどのところに「ピルゼン」という町があります。
ビールの世界において、あまりに有名なこのチェコの町で途中下車をして、ピルスナーウルケル醸造所へ立ち寄りました。
ビールの種類は数あれど、世界で飲まれているビールのうち、大半は黄金色でピリピリしているラガー≒ピルスナーです。
ピルスナー(Pilsner, Pils)とヘレス(Helles)の違い?コーンやライスを副原料として使ってる?・・・みたいな細かい話は抜きにして、それぞれの地域の気候風土、収穫される原料、嗜好やトレンドに合わせて様々な黄金色(正しくは淡色という)のラガーが造られてきました。
そんな世界を席巻した黄金色のビール、ピルスナーを生んだのがこのチェコにある町・ピルゼンなのです。19世紀半ばのことですから、2000年ほどの長いビールの歴史を考えると、極々最近の話と言っても過言ではないでしょう。
逆を言えばそれまでは、麦芽の乾燥技術が確立されておらず、麦芽を火で煎って乾燥させていたため、濃い色合いに焙煎されてしまい、すべてのビールがダークビールでした。ようやく黄金のビールが登場したのが1842年だったというわけです。
チェコ、プラハ、そして黄金ビール発祥の地、ここピルゼンへの想いをさらに強くして、丸いジョッキを一気に傾けた私は、雨あがりのピルゼン駅から最終目的地・ミュンヘンへ向け、さらに5時間の電車の旅を続けました。
追記:ちなみにピルゼン, Pilsenってドイツ語表記(読み)で、チェコ語ではプルゼニュ, Plzeň。ピルスナーウルケル, Pilsner Urquellもドイツ語で、チェコ語だとプルゼニュスキープラズドロイ, Plzeňský Prazdroj 。意味は「ピルスナーの元祖、源泉」だそうです。